今風なEDMの音作りなら「Reveal Sound Spire」がオススメ。学割もあります

ソフトシンセ紹介第二弾です。

前回はうねりの効いたベースサウンドなどに強いXfer RecordsのSerumを紹介しましたが、今回は2013年リリースのReveal SoundのSpireを紹介していきます。

基本情報

製品ページはこちら。http://www.reveal-sound.com/

189.00ドル、VST、AU、AAXに32、64bit版がありWindowsとOS X両対応。

アクティベーションにはライセンスキー(.lic)方式を利用しています。

動作確認用の体験版は30秒毎にホワイトノイズが鳴るシステムですのでちょっと音作りを試してみることもできます。

Spireのここがスゴい! その1、「扱いやすさ」

Spireは比較的オーソドックスな機能でまとめられています。

他のシンセサイザーを触ったことがあればささっと操作していけると思います。

エフェクトの順番を好きに動かしたりはできませんが、各エフェクトはちょうどいい感じに効いてくれるので不自由さは感じませんでした。

その上で、

  • ポリフォニックでもレガート・ポルタメントの設定ができ、和音をglideさせることができる
  • エフェクトのリバーブにもテンポシンクがついてる
  • オシレーターやモジュレーターにはコピー・ペースト機能がついているので手動で同じ設定をせずに済む
  • デチューンの隣にあるDensityの調整でSupersawやHypersawの作り分けもできる

ような、あると便利な細かい機能がバッチリ用意されています。

Spireのここがスゴい! その2、プリセット

ファクトリープリセットはシンセの特色を手っ取り早く知る鍵となりますが、

Spireのプリセットはかなり実用性の高さが感じられます。8月8日のアップデート時点でBankが7まで出ており、700パッチ以上を有しています。

デモの一部などでEDMサウンドを意識しているソフトシンセは多々ありますがSpireは特にその方向性が強く打ち出されているのを感じます。

サイトに表示されているユーザーレビューにはTranceやProgressive Houseシーンの大物が名を連ね、同メーカーによるプリセット集のEDM Essentialsはすでに4まで出ています。

同じく実用性が高く初心者向けにオススメされがちなreFXのNexus2なんかはいいプリセットがあってもPCM音源の関係上ほとんど設定を弄れませんでしたが、Spireでは勿論好きに動かせるので微調整し放題です。

Spireのここがスゴい! その3、バンドルと併せると更に強い

Spireは本体のみの購入に加えてSound Bundleとのセットも存在します。ここで私としてはセットで買うことを是非オススメします。

バンドル付属のEDM Essentials Vol.4、Trance Essentials Vol.1にはコンストラクションキットが付属しており、デモ中のフレーズを丸ごと再現できるようにそれぞれでMIDI、使われているプリセット、波形化したもの、パーカッションがフレーズ毎でフォルダごとにまとめられています。

デモでいい感じに鳴っているのにいざ買ってもどう作れば同じことができるかわからない」とか「そもそも一部内容物に含まれていない音が鳴っている」ようなこともありません。

初心者の方ならwavファイルやまとまったmixを聴きながら、実際に同じパッチを鳴らして再現してみることで、音量バランスやフレージングの知識・感覚を身につけることに役立つと思います。

Spireの欠点

  • オシレーター部分は音量調整のみではなくオンオフやSylenth1のsolo(単体のみ鳴らす)のような機能が欲しかった

細部がしっかりしているだけに強いて上げるなら、です。

  • 重い

アップデートでかなり動作は軽くなりましたが、まだ負荷はかかるほうです。

ウキウキしながら何十台も立ち上げているとDAWが地蔵になりがちです。あらかじめいいマシンを用意しましょう。

他のシンセと軽く比較

「ソフトシンセならもう持ってるよ!」という方のために、筆者が使っている他の有名どころのソフトシンセとの軽い比較をしてみます。

  • 対Nexus2: エディットの幅広さ・今風な音の作りやすさはSpire、生音のシミュなども含まれる音色のバリエーションはNexus2
  • 対Sylenth1: 触りやすさ・今風な音の作りやすさはSpire、軽さ・リリースから経った年月によるtipsの豊富さはSylenth1
  • 対Massive: 音質の高さ・今風な音の作りやすさはSpire、安定性・RoutingやPerformerを駆使した複雑な作り込みはMassive
  • 対Serum: 触りやすさ・プリセットの充実さはSpire、Neuro Funkや近年のDubstepに見られるうねりの強いベースサウンドの作りやすさはSerum

このように、触りやすさ・音の傾向などを踏まえて考えると、はじめてソフトシンセを買う人ならSpireが最善だと思います。

すでに音作りがかなり得意で、Sylenth1やMassiveでも自分で大体作れちゃう人ならそこまでに必要性はないかもしれません。

Serumメインで制作をしている人は、Spireも併用するようにすると作業効率を上げられると思います。

その他

Spireにも申請で50%オフが適用される学割があります。この場合商用利用は不可能なので注意。

こちらは専用のリクエストフォーム(http://reveal-sound.com/educational.html)で名前や教育機関の記入、在学証明書などの写しを入れる形式で欄も少ないので楽ですね。

今年にもスプリングセール、サマーセールがあったようにセールの頻度は高めです。

次のセールで買っちゃいましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。まとめると、

  • 圧倒的な即戦力
  • 細部に扱いやすさが備わった機能性
  • バンドルも併せて買えば曲作りがほぼ完結できる

のがSpireの強みと言えるでしょう。

ものすごく派手なWavetableの編集や、複雑なグラニュラー機能などはついていないように超個性的なソフトシンセではございませんが、触ってみるととてもこだわりに満ち溢れた、その使いやすさに気づくことができると思います。

この記事を通して、少しでもこのソフトシンセの魅力を伝えることができていればと思います。