今の時代にパソコンを買う場合、CPUは多くの人がIntel、もしくはAMDの二択から選ぶことになると思います。
市場シェアの圧倒的1位は、様々な用途に活躍するIntel。AMDは業界2位ですが、その勢いは失速気味。今回は、そんな「Intel」と「AMD」の違いと動向についてご紹介したいと思います。
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CPUの性能はクロックとコア数で決まり、用途によって使い分ける
CPUとは、主に演算処理を行うパーツです。演算処理というのは、例えばExcelの計算などはもちろんのことのこと、アプリケーション内部の計算処理、文字の表示など、コンピューターが日常的に行っている様々な処理のことを指します。
CPUの性能は動作クロック(GHz等の周波数で示されます)とコア数(4コア等と示されます)で決まり、クロックが高いとそれだけ早く計算が行なえ、コア数が多いと並列処理に強くなります。
もし、PCのメイン用途がゲームならば、コア数よりも動作クロックのほうに注目しましょう。今のゲームでは、4コア以上のCPUであれば6コアでも8コアでもそこまで大差は出にくいです。
一方で、3DモデリングやCAD、動画編集などを行う人は、並列演算に強い多コアなCPUの方が効果を発揮します。
CPUのメーカーは大きく分けてAMDとIntelの2メーカーがあります。多くの人に広くオススメできるのはIntelで、AMDは用途を選ぶ上級者向けと思っておいたほうが良いでしょう。
IntelのCPUの特徴
業界シェアナンバーワンのIntelは、そのブランド力だけあって価格はAMDより若干高め。しかしながら、多くのPCで使われている安心感や情報量の多さは魅力的で、オールマイティに威力を発揮します。ゲームユースだけではなく、CADや3Dモデリング用にハイエンドなグラフィックスボードをつけるような場合には、多くのユーザーがIntelを選びます。
2016年7月現在、IntelのCPUは3世代が入り組んでいるラインナップになっています。
- Core i7 67xx/i5 65xx:最新世代のプロセッサです。PCI Expressが増速されているため、高速なSSDを使いたい時などにオススメ。
- Core i7 5775C/i5 5575C:一世代前のプロセッサですが、内蔵グラフィックス機能が強力です。
- Core i7 47xx/Core i5 46xx:二世代前のプロセッサ。処理速度は新世代に引けを取りませんが、6XXXシリーズの登場により数は減ってきました。
AMDのCPUの特徴
AMDのCPUは、パフォーマンスではIntelに及ばないものの、とにかく安価です。コア数の多いCPUが安価で手に入るのは、特にAMDの強みではないでしょうか。コストパフォーマンスではAMDのほうがIntelより上です。
また、APUと呼ばれているモデルは、軽いゲーム程度なら快適に動かせるくらいの3D性能を持ちます。このため、グラフィックスボードを持たない低電力マシンを組む場合にAMDをセレクトする人もいます。
2016年7月現在のAMDのラインナップは概ね以下の2シリーズです。
- FXで始まるシリーズ:デスクトップ向け高パフォーマンスコア
- Aから始まるシリーズ:デスクトップ向けAPU(グラフィックス機能内蔵型CPU)
AMDのCPUはマルチスレッド能力に優れますが、シングルスレッドの能力は低いため、ゲーム用途には不向きです。また、FXシリーズは発熱量が大きいモデルが存在し、冷却が十分にされているかという事に気をつけなくてはいけません。
自作PCだけではなく、メーカーパソコンやBTOメーカーの多くがIntelでマシンを組むことを考えると、業界シェアがIntelよりも低いのも仕方がないことかもしれません。
2019年9月追記・AMDとIntelは今
この記事を作成して3年、AMDは新アーキテクチャのRyzenを引っさげてIntelに挑戦し、ついに売上が逆転する月も存在するようになるほど、強力なCPUを作り上げることに成功しました。
そこでここでは追記として、2019年7月時点でのIntelとAMDの比較をしていこうとおもいます。
Intel
三年前から大きくは変わっていませんが、強力なシングルスレッド能力は依然としてAMDと競争力があり、またソフトウェアの最適化が進んでいるのも相まってAMDのRyzenにいまだ対抗する性能は持ち得ています。ただし、現在のIntelプロセッサは熱に問題を抱えており、高い負荷のかかる作業(例:動画編集、ゲームをやりながらのストリーミング配信など)は大きな熱を処理できる冷却機構が必須となっています。
AMDの追撃を受けて値段を下げて来たこと、次世代のCPUはマザーボードのソケットが変わること、製品が出てから時間が立っていることを受けて値段はかなりこなれており、これ以上の値下げはあまり見込めないと予想されます。ゲームのパフォーマンスではAMDの最新世代であるRyzen 3000シリーズよりやや早いため、ゲームのみのパフォーマンスではRyzenよりも良い選択肢になりえるかもしれません。
AMD
新アーキテクチャのRyzenを引っさげてIntelに挑戦状を出してから3年、前世代ではシングルスレッド能力では劣るものの、マルチコア能力では高い数字を叩き出し、今世代に当たる3000シリーズではついにシングルスレッド能力でもIntelに逼迫するほど高性能なプロセッサになりました。
消費電力も控えめで、かつIntelのCore i9シリーズに対抗できるRyzen 7 3700X、コンシューマー向けとしては異例の12コアを抱えるRyzen 9 3900Xが今世代の注目プロセッサになっています。しかし出始めなこととそのパフォーマンスにより、7/12現在では入手が難しいのが難点ですが、Intelより扱いやすく性能も十分なため大変おすすめのCPUとなっています。
まとめ:普通に使う分にはIntel/AMDで大きな差はない
ここまでで、IntelとAMDのCPUの違いについて書いてきましたが、こういった差が出てくるのは、主に高負荷だったり、ハイパフォーマンスを要求するゲームやソフトウェアを使用した時の話です。
ブラウジングやOfficeなどで使う分には、そのPCのCPUがIntelかAMDかで体感速度が大きく変わるということはあまりありません。
パフォーマンスを重要視する人にとってはパフォーマンスも大きな違いなのですが、そうでない人にとっては「IntelとAMDの最大の違いは値段・消費電力」ということになるので、低コストCPUのAMDを使うメリットは十分に出てきます。扱いやすいRyzen 3000シリーズを選ぶか、ゲーミングパフォーマンスを取ってIntelを選ぶか、というのが2019年7月の状態です。
PCの用途があまりヘビーユースでないのであれば、AMDを選択肢に入れてみるのもアリかもしれません(筆者はもろにヘビーユースなので、Intelばかり使っていますが……)。特に、もしストリーミング配信を行う予定がある、動画のエンコードを行う予定がある人はAMDのRyzen 9 3900Xがおすすめです。(筆者もほしいのですが、これから更にコア数の増えたRyzen 9 3950Xが登場予定のため、まだ購入に踏み切れていません……)
いずれにしても、そのPCの用途は何なのかをしっかり考えて、自分にピッタリなマシンをセレクトしたいものですね。