ガントチャートを使うと、タスクがものすごく分かりやすい 〜 イチから作る同人CDの裏方仕事(5)

どうも、餅屋です。

また一週間空いてしまいましたが、私は元気です。秋のイベントラッシュで10月に入ってもまだまだあわただしく走り回っております。そろそろ全部投げ出して熱海とか行きたいですね。不労所得とかほしいところです。

さて、前回に引き続きで耳が痛い痛いスケジュールの話第三弾です。今回でスケジュールの話は終わりとなりますし、おそらく今回は各回の中で一番短い文章量になるかと思われます。しかし、できる限り使えるものをお伝えできればと思いますのでお付き合いください。

 スケジュールをより見やすく管理しやすくする。

さて前回は作業の前後における依存関係のお話と、それに基づきアローダイアグラムを用いて作業ひとつひとつにおける、「一番早く実施できる日数」と「作業を始めないといけないタイムリミット」、「余裕日数」を計算で求めていきました。

前後の工程・作業の因果関係を確認し、どの作業から始めないといけないのか、いつまでにやらないといけないのかという具体的な日数をこれで求めることができました。

上記で求めた日数と工程・作業の順番を意識してプロジェクトを進めていけば作業の効率は比較的あがると思いますが、ここでもうちょっと一工夫して「より見やすく」「より管理しやすい」フォーマットに置き換えてスケジュールを管理しましょう。

今回意識するうえで重要なのは、他人が見ても問題なく使える内容に落とし込む、という作業になります。

タスク管理の有用フォーマット「ガントチャート」

今回の話では、タスク管理で最も有名でかつ分かりやすいフォーマットでおなじみ「ガントチャート」を使用して説明していきたいと思います。

一般には「スケジュール表」や「管理表」「工程表」など組織ごとに様々な呼ばれ方をされていますが、主に生産管理や工程管理、スケジュール管理などのマネジメント方面では親の顔より見る表となります。

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図はガントチャートのサンプルとなりますが「工程と作業を項目ごとに枝状に」書き出しその上で「作業期間を棒(チャート)」を伸ばしているのが分かると思います。見てもらったら分かる通りなのではありますが、ガントチャートは工程と内包する作業を段取りごとに並べた表となります。そしてガントチャートを使う上で何よりも優れている点は「パッと見ただけで全体の計画が理解できる単純性」にあります。

前回のアローダイアグラムは小難しい計算ばかりが先行していましたが、これは単純に項目ごとに必要な日数を棒線で引っ張っただけの簡単構造になります。これならアローダイアグラムのような前提知識がなくとも、前後の因果関係を把握でき作業の締切はいつなのか、いつまでに作業を始めないといけないのかということが一発で分かります。

ガントチャートで使用する項目は大雑把に分けて以下の通りになります。

  • やること(工程・作業)
  • 開始日と完了日
  • 作業の内容
  • 誰が担当するのか
  • 作業と作業の因果関係
  • マイルストーン(作業ごとのキーポイント)

上記の内容が決まっていればガントチャートは作成できます。

ガントチャートを作ってみる。

今回は外部サービスではありますが、無料でガントチャートの作成が可能なサービス「Brabio!」http://brabio.jp/)を用いて作成していきたいと思います。

作成方法は上記シートの機能やチュートリアルに書いてあると思いますので、それを参考にしながら使用してください。

ガントチャートを記入する際に覚えておきたいワードは以下の通りになります。

  • タスク(作業):項目の最小の単位。「開始日」と「完了予定日」が指定されている。
  • タスクグループ(工程):複数のタスクをまとめ順番通りに並べた大分類。
  • リンク:タスクごと前後の依存関係。前後の作業を一本の矢印でつなぐ
  • マイルストーン(イベント):作業の終わりなどで発生する成果物や重要なイベント

そのほかクリティカルパスやリソースなどありますが、詳しく知りたい方はググってください。ここで明記しなくても(この解説では)死にはしません。最低限上の4つを覚えておくとガントチャートを作るうえでは大事な要素となりますので覚えておきましょう。

さて記入方法ですが、ここで前々回と前回でやったことが活きてきます。

タスクとタスクグループ

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まず管理する作業項目を前々回行った「工程と作業分解した作業内容」を丸々記入していってください。

この時ですが、工程は「タスクグループ」で一段上に、作業は「タスク」としてタスクグループより一段下に、さらにタスクの下に作業を入れる場合はさらに一段下とツリー上になるように分けてあげてください。

こうすることによりタスクとタスクグループが明確になるので見やすくなり、どの工程に内包されているのかというのが分かりやすくなります。

作業分解した内容を項目ごとに振り分けてやることが必要ですが、あまり細かすぎても分かりづらいので、不必要であると感じたのなら記入せず似ている作業に含めてやるということも大切となります。

チャート・リンク

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次にチャートとリンクです。まずチャートは前回実施した「作業の依存関係」と「アローダイアグラム」で求めた余裕日数を参考に開始日と完了予定日を定義してやります。

この時余裕日数最大だと意味がありませんし、「一番早く実施できる日数」で組んでしまうと余裕のないスケジュールになってしまいます。「自分が作業するならこれくらい余裕があるといい」という感じに多少のバッファを考えながら、設定してあげると良いでしょう。

さらにチャートを同時に複数本引く際は「自分または担当者一人で作業がこなせる数だけ」引いてあげてください。

同時スタートで作業を開始してしまうと、途端に負荷が高くなりキャパシティを超えてしまいます。開始日や完了日をずらして上げるなどして、無理のないチャートを引いてあげることが大切になります。

リンクは「作業の依存関係」を確認しながら引いてあげるだけなので特にいうことはありません。

一通り入力し終わったら、無理のないスケジュールか項目に漏れがないかなどしっかり確認して、関係者に展開してあげましょう。また今回作成したガントチャートは印刷しておくと非常に確認しやすい表となりますので、こちらもぜひお試しください。

ここまでのまとめ

三回にわたりスケジュールを組み立てて参りました。

ここまでスケジュールを綿密に立てる必要性はなにか、と申しますと一番の理由で「できるだけ楽に作業を終えたい」、これに尽きると思います。

できるだけ負荷がなく、ちょくちょくサボっても余裕で作業完了できる程度に時間があるということは非常に幸福だといえるでしょう。何よりも負荷が高いとそれだけ「生産性」や「効率」、「ヒューマンエラーの増加」につながり作業がままならない状態に陥る可能性もはらんでいます。

行き当たりばったりではなく、事前に予定を組んでおきその予定内で物事を完結できるということがスケジュールを組む意義だといえるのではないでしょうか。楽をするために苦労をして頂ければと思います。

 

さて、ここまでで事前の事務作業はいったんひと段落しました。

次はいよいよ、生産などの実作業について解説していきたいと思います。

が、その前に秋のイベントラッシュシーズンなので、次回はちょっと番外で「即売会で見る効果的なディスプレイについて」お話させていただこうと思います。

それでは、次回も宜しくお願い致します。