ユーレイルパスは本当に必要? ヨーロッパ鉄道パスのメリット・デメリットを解説します

こんにちは、神乃木です。 ヨーロッパを旅するときに最も身近な移動手段といえば鉄道かと思います。

ヨーロッパを鉄道で移動する際、まず検討するのがヨーロッパの鉄道が乗り放題になる「ユーレイルパス 公式サイト」というもの。

3日間で325ドルから利用でき、西はポルトガル、東はルーマニアまでが利用範囲に入っています。

しかしこのユーレイルパスですが、実際に使ってみると便利な場面と不便な場面があります。

この記事では、そんなユーレイルパスについて、本当に価値があるのか、買って良いのかどうか、筆者の利用経験も交えて解説していきたいと思います。

ユーレイルパスを買うメリット

まずユーレイルパスのメリットですが、これは何といっても「乗り放題」であることに尽きます。どれだけ乗っても問題ないので、鉄道をメインで旅行する人にはうってつけです。

また、ヨーロッパ諸国を利用する際に、各国の国鉄のWebサイトなどで切符を買ったり、駅の窓口や券売機に並んだりせず済むというメリットもあり、これは特にヨーロッパおよび鉄道に詳しくない人にとっては嬉しいといえるでしょう。

市内のトラムや地下鉄を利用できるのもメリットで、いちいち券売機を探したり、有効時間が切れることを気にする必要がありません(ヨーロッパの市内交通は時間制のチケットが多いです)。

筆者がユーレイルパスを利用したときのパス。区間を手書きで記入することで乗車できるアナログなパスです。

ユーレイルパスの買う場合のデメリット

しかしながら、上記のメリットを加味してもユーレイルパスは買う価値があまりなかったと筆者は考えています。

買わない方が良い理由は以下の3つ。

  • 普通に買ったほうが安い
  • 追加料金が必要になるケースが多い
  • 飛行機のほうが早くて安い場合も多い

普通に買ったほうが安い件

もちろん行く国にもよりますが、ヨーロッパの鉄道は早く予約すればするほど安くなります

例えば、ドイツのフランクフルト〜ベルリンでドイツの高速列車ICEを使う場合、当日の料金だと以下の通り。左のプロモ料金(一等車)が165EUR、二等車(変更可能券)で132EURとなります。

しかしこれの日付を2ヶ月後にするとこうなります。

左のプロモ料金は半額の68ユーロまで値下がりしました。プロモ料金の適用条件は ①変更不可(乗り遅れ保証外)のチケットである ②キャンセルに制限がある などの制約が伴いますが、国によっては更に25%、10%程度まで値下がりすることもあります。

一方でユーレイルパスの料金は、グローバルパスが3日で約300ドル。1日100ドル分の移動をしようと思うと、結構骨が折れることがわかります。

追加料金が必要になるケースが多い件

また、ユーレイルパスを買っていてもそのままでは乗車できない列車の例に、タリス・TGV・ユーロスターなどの一部高速列車が挙げられます。

これらの列車は座席指定が必須である上、ユーレイルパスホルダーのための座席指定券が国鉄サイトから購入できません。このためユーレイルパスのオンラインデスクにて予約を頼むことになりますが、その予約料が高いです。

一回私もユーレイルパスを利用しましたが、乗りたい列車にTGVが含まれている場合にはこんな感じに。

このように、列車ごとに細かく予約料金を徴収されてきますので、「何のための乗り放題パスなんだ」と思うことになります。

確かに、風情あるEC/IC(Euro CityやInter City)の客車列車に乗って移動する分にはこれらの追加料金は不要なのですが、そもそもEC/ICは年々減少しているため、特に大都市間の移動については時間面・利便性を考えて高速列車を使うことが多いでしょう。

飛行機のほうが早くて安いことも

これも本末転倒ではありますが、ヨーロッパ域内はLCC(イージージェット等)が発達しており、プロモ料金を含めかなりお安くなります。

以下の料金はオランダのアムステルダム〜ドイツのベルリンのフライトです。記事執筆時点(10月23日)から3日後のフライトですが、片道が72EURと十分勝負できる金額です。

イージージェットの予約画面から抜粋。1時間半のフライトで72ユーロ。

ほぼ同じ条件でICEを探してみると、片道の金額は以下の通り100ユーロから。所要時間は6時間半もかかります。

もちろん飛行機の場合、手荷物の持ち込み制限やフライトの数、LCCであれば保証の有無、空港での待ち時間等はありますが、このケースのように飛行機のほうが良さそうな場合も多々あります。

使い分けする選択肢を残す意味でも、ユーレイルパスを買わずにおくほうがメリットは多いと考えます。

もちろんユーレイルパスがお得なケースもある

ICE(ドイツ版新幹線)の車内。ユーレイルパスだけで乗車できる便利な乗り物。

ユーレイルパスの場合、高速列車でいうとドイツのICEとオーストリアのRailjetについては追加料金が特にかからず乗車できます。この2つは座席指定が任意なので、来た列車に自由に乗って好きな場所で降りることができます。

このため、ユーレイルパスの1カ国パスを利用して、ドイツまたはオーストリアを巡るというのは十分に利用価値があります。ただしそれでも、1日あたり100ドル分の元を取ろうとすると結構な距離を移動せねばならないため、「乗り鉄」が目的で1日に何本も列車を乗るようなケースでなければ、ユーレイルパスの購入は考え直したほうが良いでしょう。

以上、今回はアンチユーレイルパスな記事をお送りしました。前々回のヨーロッパ旅行では考えるのが面倒くさくてユーレイルパスを買ったのですが、後から振り返るとどう考えても個別に買ったほうが安かったので、同じ過ちを繰り返さぬよう記事にしてみました。

ヨーロッパの鉄道会社はどこも簡単な英語がわかれば使えるアプリ・ウェブサイトが充実していますので、それらを調べる時間も旅の一つと考え、地道にお得な料金を探すことをおすすめします。