こんにちは、ミリタリー初心者の神乃木リュウイチです。
先日、日曜日に開催された富士総合火力演習(総火演)に人生で初めて行くことができたのですが、その内容が非常に印象深いものでした。
行く前は「自衛隊の各種装備が実弾で射撃する場面が見れるらしい」という程度の認識でしかなかったものの、実際にはそれよりも大事なものを色々と感じることができる、有意義なイベントでした。
今回は、その総火演の内容と印象深かったところをレポートしていきたいと思います。
砲撃音で震えるテント
29倍の倍率に負け、総火演は当然落選していたのですが、金曜日の夜になって突然友人から「総火演1人分余ってるんだけど来たいなら来る?」と言われ、ホイホイ言って決めた私は、友人らと合流して深夜に都内を出発しました。
深夜の東名高速を走ること1時間程度。御殿場に到着して駐車場に車を止めて、そこからタクシーで会場に着いたのが6時頃でした。
並んでみて驚いたのは、「早朝なのにもう人が多い」ということ。そして、予行練習がある(!)ということ。演習の開始は10時からですが、演習に先駆けて朝のうちからいろいろな装備を動かしているのですね。
「先にたくさん人がいるので入場まで1時間超えると思います」という嬉しくないお言葉を聞きながら待つことしばらく、突然の轟音と風で、心臓が5秒ぐらい止まりました。戦車初心者なのでよく分からないのですが、多分120mm砲が2台くらい同時に撃ったのではないかと思います。
砲撃音は音よりも「風」の方がインパクトが強いんだなということを感じました。
試射の砲撃音でテントが揺れる爆音&衝撃です pic.twitter.com/EGUmAgGPVl
— 神乃木リュウイチ (@kaminogi) August 26, 2017
この音をビデオモードにして撮ってみると、確かにこの「風」でテントが揺れているのがわかります。7秒ぐらいの動画なので是非見てみてください。
いざ前段演習!アイドルはやっぱり10式!
音楽隊の演奏やら偉い人の入場で待つことしばらく、10時ちょっと過ぎから「前段演習」が始まりました。
総火演の演習は朝10時から12時半ごろまで続きますが、前後で時間が区切られており、中休みを挟んで「前段」「後段」の演習があります。前段は単体装備の展示(といっても実際に射撃します)がメインで、後段はシナリオ仕立てのもの。
演習は色々とあるのですが、ここでは印象に残った演習をいくつか紹介したいと思います。
自走榴弾砲で「富士山」を描く
99式155mm榴弾砲などを始めとした自走砲パーティによる一斉射で、爆発で「富士山」を描くという極めて高度な技術が要求される演目です。会場からは「おーっ!」という驚きの声。ちなみに1枚目の写真、よく見ると右から2番目の99式のマズルから砲弾が飛んでいるのが見えますね。
自衛隊のアイドル10式戦車
最新機軸の採用で導入当時話題になった10式戦車。どこから見てもカッコイイ戦車というのはなかなかないものです。特に砲塔部分の傾斜装甲がまさに「構造美」だと思います。
射撃の様子は防衛機密?な16式機動戦闘車
105mmの主砲を備える「装輪戦車」と言っても良い16式機動戦闘車。ファンの誰もが「射撃の様子を見たい!」と思ったでしょうが、今回は走り回るだけ。とはいえ、時速100km以上のカタログスペックは本当のようで、高い機動力を見せつけてくれました。
下から見る分には気持ちよさそうな空挺部隊
こちらは空挺降下の様子。上空1000mから会場に向けて降下してくる様は見事なもので、着地まで一切危なげない完璧な身のこなしっぷりでした。
圧巻の後段演習。これ、CoDだ
中休みを挟んで後段演習の始まりです。後段演習は「島しょ部の防衛と奪還」というテーマのシナリオで進められます。島しょ部というのは要するに尖閣諸島とかそのあたりのことで、仮想敵国(どこの国でしょうか?)からの島の防衛、軍事占領された場合の奪還のデモンストレーションになります。
後段演習が始まり、空自のF-2の出迎えです。流石に換算480mmでも距離はありますが、低空飛行による轟音とそのスピードは圧巻でした。既にこの時点でだいぶテンションが上がります。
後段演習は、前段演習に出てきた装備たちが複合的に活躍する内容になっており、ヘリボーンや航空支援攻撃などもあります。
感想を一言で言うと、「これ、Call of Dutyだ」です。軍事はよく分からないのですがその手の映画とかゲームは大好きなので、もうテンション上がりまくりです。無限にシャッター切ってました。かっこよすぎる。
CH-47輸送ヘリから各種装備を展開する際、隊員が先に出てホフクで小銃を構えたりするのも、まさに映画ですよ。空から空爆した上で道を拓くのも映画とかFPSで見ました。ヘリボーンの後目標地点まで走るのも(ry とにかくそんなシーンが満載で、飽きることがありません。
最後の大団円では、戦車・装甲車・ヘリなどが総攻撃を行うという設定で一斉に広場を埋め尽くす演出もありました。そこから響くエンジン音・タービン音・ローター音などの各種サウンドと、舞い上がる土煙、微かに漂う爆薬の香りから、五感で「自衛隊」を感じることのできる最高のイベントでした。
印象に残った最後の退出シーン
そんなこんなであっという間に終わってしまった演習。前方広場に展開していた戦車たちが順番に帰っていきます。
最後の総攻撃のシーンもあってか、会場の興奮は未だ冷めやらぬ状態で前方を通過する戦車に、観客たちが自然に立ち上がって手を振りはじめました。戦車に乗っている車長もその様子を見て敬礼。敬礼自体は決まっていたことかもしれないですが、私の中では、この瞬間に観客と自衛官の人たちが繋がったような気がしました。
そう、自衛隊が護っているのは国民である私達なんですよね。だから国民に向けて敬礼する。例え国会でどれだけ非難されようと、デモで反発されようと、戦場で死と隣り合わせになろうと、その国民たちを護るために活動するんですよね。
彼らの敬礼の中に、そんな決意と覚悟の混じったメッセージを受け取った気がして、不覚にも少しだけ涙が出てしまいました。
まとめ:総火演、一生に一度は見に行くべし
いかがでしょうか? 総火演、まさか行けることになるとは思いませんでしたが、行ってみて非常に有意義なイベントでした。
総火演を一般公開する目的は、自衛隊を国民に理解してもらうためだといいます。確かに今回行ってみることで、自衛隊に対する理解はよりいっそう深まったように感じます。
ですが、難しいことは抜きにしても、ディーゼルエンジンを轟かせながら目の前を駆け抜け、轟音の主砲を撃つ戦車は、それだけでも非常にかっこいいものです。
来年も絶対応募しようと思ったので、来年行かれる方はぜひ一緒に行きましょう(笑)。