一眼レフが重い? SONYのRX100M5を買えばいいじゃない!→買いました。作例・レビュー・比較等

デジタル一眼レフカメラは画質がいい。オートフォーカスが速い。連写に強い。

そして、何といっても「写真を撮っている感があってカッコイイ!」。

……そう思っていた時期が私にもありました。

でも冷静に考えて、一眼レフって重たくないですか? 持ち出すのにエネルギー使いませんか?

そんなことを常々考えていた私は、前々から目につけていたソニーのコンデジ「Cybershot RX100M5」を買うことにしたのです。

今回は、実際にRX100M5を持ち出して写真を撮ってみた感想、作例、比較などを交えながら、一眼レフとの共存や、RX100M5が得意なポイントなどをレビューしていきたいと思います。

Cybershot RX100M5の紹介

作例に入る前に、今回買ったCybershot RX100M5について軽くおさらいしておきましょう。

RX100M5は、レンズ交換型ではない小型のデジタルカメラで、いわゆるコンデジという種類のカメラになります。

各種ブログや口コミサイトを見ても、「欠点は値段だけ」等と絶賛されているカメラで、ヘビーユーザーからライトユーザーまで、幅広く使われていることがわかります。

センサーサイズは1インチとコンデジにしてはかなり大きめ。レンズは定評のあるカール・ツァイス社とソニーの共同開発レンズを採用しており、明るさはF1.8-2.8、焦点距離は24mm-70mmと、広角から中望遠までをカバーしています。さらに、マクロ撮影では広角側で5cmの接写が可能になっています。

特筆すべきはオートフォーカスの性能で、315点像面位相差AFセンサーによる高速AFにより、0.05秒での合焦を可能にしています。

RX100M5の購入を決意した理由

ここから先は、特に記載なき場合、写真はRX100M5で撮影したものです。

F8.0 1/30 ISO125

私がRX100M5の購入を決意した理由は大きく分けて3つあります。

1つ目は、なんといってもその携帯性。言うまでもありませんが、一眼レフの重さというのはかなりのものです。私がメインで使っているEOS 6D MarkIIとEF24-70mm(F2.8)は、その合計重量がおよそ2kg近くになります。それに対し、RX100M5はたったの300gです。以前ヨーロッパ旅行に一眼レフのセットを持っていきましたが、たしかに良い写真は撮れるものの、その重さと、機内持ち込みサイズに占める量を考えると、なかなか厳しいものがあったのを考え、以前よりこれを軽くする術を考えていました。

2つ目は、SONYの画質に対する信頼です。普段から私はキヤノンを使っていますが、キヤノンの写真は等倍で見るとノイズが結構あり、レンズの性能に対して本体の画像処理エンジンがかなり足を引っ張っているのがわかります。いつまでも自社開発エンジンにこだわらずにさっさと他社製を使えばいいのに。

それに対してSONYは、サークルメンバーの持っているα6300シリーズやRX100M3などの画像を見ていても、明らかにキヤノンの一段も二段も上を行く画像処理性能を有していることがわかります。実際にRX100M5の作例を見ても、その画質は一眼レフと較べて遜色ないといえます。

3つ目は、焦点距離です。これは個人的な考えかもしれませんが、私はメインでEF24-70mmを使っており、この焦点距離に非常に慣れています。そして実際に撮った写真を見ると、殆ど24mmか70mmで撮っているものばかりなことに気づきました。人物を撮るのであれば85mm等が必要でしょうが、コミュ障なので撮る機会があまりなく、風景写真メインであれば24-70mmの焦点距離で十分かと考えた次第です。

こういった理由から、普段持ち出しのEF24-70mm+EOS6D Mk2のセットのサブとして、RX100M5を買うことにしたわけです。

犠牲になったのはサブ機のEOS 7D Mark II。APS-Cのフラッグシップ機ですし、連写と動画性能を考えて持っていましたが、連写と望遠が必要なシーンなんてそれほど無い上、動画に至っては一度も使ったことがなかったので、いい機会なので処分することにしました。ていうか一眼レフ2台も使わんでしょ。職業カメラマンじゃないんだし。

レビュー

まあそんな感じで理由をつけて、「要は新しい機材が欲しかったんでしょう?」という心の声を聞きながら、さっそく試し撮りをしてみることにしました。

動物

このカメラは、ワイド端のマクロ撮影がなんと5cmまで寄れるので、このように躍動感あふれるカットも撮ることができます。拡大してみるとわかりますが、毛の質感がかなり良いですね。

F2.8 1/30 ISO125

手前の猫のヒゲの感触が好みです。

F2.8 1/80 ISO800

カメラ本体が小さいので、結構大胆に寄れます。また、バリアングル液晶があるので、ファインダーを覗かずに撮れるのも大きなポイント。ただ、ISO800クラスになると背景の暗部で少しノイズが気になるかもしれません。このあたりは仕方がないかな。

F2.8 1/60 ISO800

一口メモ:機材が大きくないので動物に寄りやすい。毛の質感も気持ち良い。

食べ物

食べ物も特に問題なく撮ることができます。ボケ味は流石に一眼レフには及ばないですが、自然な感じで撮れていると思います。

F2.8 1/80 ISO320

肉も十分美味しそうに写ります。

城ヶ島の近くで食べた三崎まぐろも美味しそうに写ります。このカメラはサイズが小さく持ち出しやすいので、食事の時に説得力のある写真を撮るのにうってつけかもしれません。

F2.8 1/60 ISO800

一口メモ:グルメ系な人で、スマホ写真に満足できない人にはかなりオススメ。

植物

お次は植物です。鎌倉の光則寺にある紅梅を撮ってみましたが、仕上がりとしてはまずまずです。色合いは非常にフラットな感じですが優しい色合いで、少しだけ自然な彩度を盛ってあげると良い感じに仕上がります。

F2.8 1/160 ISO125

同じく鎌倉の荏柄天神社にある梅です。ズーム端ではF2.8が最大開放なので、一番ボケ味が出る撮り方でこんな感じですね。

F2.8 1/125 ISO125

写真自体は大したことないですが、参考にフルサイズデジタル一眼レフで同じF値、似たような被写体で撮った時のものです。比較するものではないですし当然ですが、ボケ味、周辺減光の雰囲気、質感などはデジタル一眼レフのほうが良い場面もあります。

EOS6D MkII+EF24-70mm F2.8L USM II / F2.8 1/60 ISO100

一口メモ:ガチで撮るなら一眼を持ち出そう。

夜景

次は夜景です。ズームしてもF2.8の明るさがあるので、夜の繁華街などでもスナップ写真を難なく撮ることができます。ディティールも損なわれていません。

F2.8 1/80 ISO125

少し小雨が降っていた銀座の町並みです。こちらはそれなりに薄暗くなっています。細かい部分のディティールは多少崩れていますが、カラーノイズが非常に乗りづらいのは高評価です。

F2.8 1/50 ISO800

夜景をきちんと撮りたければ、スローシャッターにすることでこのような写真も撮れます。全体的にそこそこな写りですが、光芒の出方などで好みが分かれる気はしました。

F11 10″ ISO125

このような夜景の撮影は、一眼レフだと大きな三脚を構えてどこかで場所取りをする必要があったのですが、RX100M5だと↓のようなミニ三脚で事足りますし、カバンの中に忍ばせても余裕で対応できちゃいますね。

一口メモ:どこでも気軽に夜景撮影できる。

総評

以上、RX100M5の作例とレビューを簡単に書いてみました。

室内、屋外、昼に夜といろいろなものを撮ってみた感想は、「これで十分戦えるな」というものでした。もちろん一眼レフには及ばないので、本気で「作品」を作りたいと思った場合には力不足感は否めませんし、一眼レフ特有のボケ味や周辺減光、ダイナミックレンジに負けてしまう場面というのも当然出てくるとは思います。

しかしながら、これだけの写りのカメラが手のひらサイズの300g未満で手に入るということは革命的です。そりゃあ、重たい三脚とゴツゴツした一眼レフをハードケースに入れて持っていけば良い写真は当然撮れます。でもそんな万事恵まれたコンディションで写真撮影に挑める機会なんて、プロでもなければなかなか訪れないし作りにくいものです。

会社帰りに見た夕焼けが綺麗だったとか、駅前で面白そうなイベントがあったとか、そういった時に十分なパフォーマンスの出せる機材を常に持ち歩いておけば、戦争に出掛けるかのような機材を背負って休日に出掛けるよりも、よっぽどか面白い写真を撮れると思うのです。

そういった意味で、このRX100M5は、撮りたい時を逃さずしっかり撮るという、カメラの基本をしっかり守った良い機材だといえるでしょう。よくレビューサイトなどで「一眼レフのサブカメラに最適」とありましたが、これはそういう意味だったのだなぁと、使ってみて感じました。持ち出さない高性能より、持ち出す普通ですね。

同時に、こういった機種を使うことで、コンデジでは力不足な、「一眼レフでしか写し得ない写り」というのも実感できます。使うべきところではしっかり一眼レフを使える、そういった分け方を学ぶというのも、楽しいフォトライフを送るために必要なスキルの一つなのかもしれません。

「一眼レフは持っているけど重たい」「出掛けるときに気合が必要」といった悩みを持っている方は、ぜひRX100シリーズの購入も検討してみてください。RX100のうち、似たようなスペックと焦点距離を持つモデルはM3,M4,M5と松竹梅が3つありますが、M5は動画撮影をする人か、私みたいに「一番高いし一番良いものだろう」と脳死して買う人向けのモデルになるので、動画性能を少し落としたM3や、M3よりも画質のよいM4といったモデルも検討してみてください。ちなみに、レスポンスの良さはM5が圧倒的に高いので、一眼レフに慣れている人でキビキビした動作を期待する人は、M5が幸せになれます。M3~M4も遅いわけではないですが、M5と比べると少しもっさり感は出てしまうので。

追記:RX100M5AとRX100M6について

この記事を書いた後、2018年9月現在では、後継機としてRX100M5AとRX100M6の2つが発売されています。

RX100M5Aは、この記事で紹介したRX100M5のマイナーチェンジ版といえるもので、内部処理能力・画質・オートフォーカス等の能力向上が行われています。今後買う場合には、RX100M5Aを購入するのが良いでしょう。

RX100M6は、RX100M5とは別ラインナップといえるもので、レンズの性能からして異なります。RX100M5Aまでの弱点であった「望遠が効かない」が、M6では完全に解消されており、周りの評判は非常に良いです。編集部でもM6を入手した場合には記事にしたいと思います。