あなたの音楽が売れない理由と、実際に音楽で稼ぐためのアプローチ

音楽を作っていて、ほぼ1000000%の人がぶち当たる壁。

「売れない」

音楽が売れないと、楽器やシンセ、エフェクトなどの機材が買えない。機材が買えないから、自分の考える「もっといい音楽」を作れない。そして何より、売れないと気持ちがどんどん憂鬱になっていく。

そんな負のスパイラルを脱却するには、どうすればいいのでしょうか?

「売れない」ことによる悩みは、「売る」ことで解決します。

1曲でも売れれば気分だって前向きになるし、少しばかりの小銭だって入る。それはきっと、金額以上の価値をもたらしてくれるはずです。

今回は、そんな「音楽を売って稼ぐための方法」について、いくつかアプローチを考えてみたいと思います。

同人誌即売会で販売(頒布)する

「音楽を売る」と言われるとまず最初に浮かぶのが、「コミケなどの同人誌即売会で売ること」である方も結構いらっしゃると思います。

確かに同人誌即売会は参加するための敷居が低く、イベント当日の人もある程度いるため、売るための機会が結構たくさんあるように見えます。

しかし、同人誌即売会で音楽を売るというのは、収益性の観点からはあまりお勧めできません。

「同人誌」と「音楽」では、その購入フローが全く異なるため、音楽を売るのが厳しいからです。

同人誌や漫画本はペラペラめくれば内容が分かるのに対し、音楽は試聴しないとわからない。これは、限られた時間でイベント会場を回る購入者にとって厳しい問題です。

また、「既刊が売りづらい」という要素もあります。

即売会は「新刊」を出すことが重要とされており、以降の既刊についての扱いは冷酷です。委託販売もせいぜい半年程度までで、以降は返品されることが多いでしょう。

これは、せっかく積み上げた過去の作品を売る機会を、必要以上に逃してしまっています。購入者目線でみれば、新しい=良い作品ではなく、過去作のほうが良かったということも多いはずです。

さらに、データならともかく、CDの製作コストも結構かかります。プレスの場合は最低100部単位、手焼きであればそれなりの時間がかかります。

このように収益性だけを見れば、同人誌即売会は決して割の良いものとは言えません。

しかし、同人誌即売会には大きなメリットがあります。

それは「二次創作の楽曲も売りやすいこと」「購入者の顔を直接観れること」「仲間ができる(かもしれない)こと」。イベント会場で出会うサークルや一般参加者の顔は、音楽を作る上で何よりも励みになりますし、商業流通では売れない二次創作のCDなども売ることもできます。

ここまで「収益性では」と前置きしてきた理由は、イベントには収益性以上に得られるものがあるからです。モチベーションはお金では得られないので、こういったイベントでそれを吸収するのも立派な方法だと思います。

◎ 同人誌即売会のメリット

  • 二次創作の楽曲が売りやすい
  • 購入者の顔を直接観れる
  • 仲間のサークルを探せる

× 同人誌即売会のデメリット

  • 音楽を「即売」するのは難しい
  • 旧譜が流れやすい
  • CDを作る場合、在庫リスクがある

YouTube・ニコニコ動画に曲を投稿する

では、次にメジャーと思われる、YouTube、ニコニコ動画に音楽を投稿する方法を考えてみましょう。

YouTube、ニコニコ動画は共に収益化が可能なプラットフォームで、YouTubeは広告費、ニコニコ動画は「クリエイター奨励プログラム」から収益を得ることができます。

YouTubeとニコニコ動画のどちらが収益金額が大きいかというと、これは圧倒的にニコニコ動画のほうが大きいです。

1再生あたりの単価は、YouTubeが約0.05円、ニコニコ動画が0.3円程度です。※補足

つまり、10000再生あたりの収益は、YouTubeで約500-1000円、ニコニコ動画で3000円程度になります。

数字だけをみればニコニコ動画に軍配が上がりそうですが、両者ともに特徴があるので、ここはしっかりと押さえましょう。

両サイトの特徴は大まかに言うと以下の通り。

  • Youtube=海外ユーザーへのリーチ力が高く、検索エンジン等でも引っかかる
  • ニコニコ動画=国内ユーザーへのリーチ力が高く、旬ジャンルに強い

ニコニコ動画の人気動画はYouTubeに無断転載されることもあるため、できれば両方に投稿しておくのが良いでしょう。

また、両サイトが潰れない限りは過去作品もしっかり保存されるため、作品の経年劣化を防ぐこともできます。

動画投稿にはいくつかのメリット・デメリットがあります。

一番大きいのは、物理的にCDなどを作成する必要がないことでしょう。
そして、即売会等へ参加する必要がないため、イベント会場が遠い人にも機会があるといえます。

また、曲単位で作品が完結するため、アルバムと違って1作品あたりの製作時間が短くてすむのもポイントです。

一方で、動画を作成するにはある程度の知識・技術が必要である上、場合によってイラストレーターを手配する必要があります。
かといって一枚絵では観てもらえない可能性もあるため、このあたりのコストといかに折り合いをつけるかが鍵になるでしょう。

◎ 動画投稿のメリット

  • 1作品あたりの製作時間が短い
  • イベント参加に必要な諸費用が必要ない
  • 過去作品でもしっかり再生してもらえる

× 動画投稿のデメリット

  • イラストなどの整備が必要
  • 動画制作の知識・技術が必要
補足
YouTube、ニコニコ動画共に「人気に応じて分配金額が変わる」という方法を取っているため、単価には開きがあります。特にYouTubeは単価の開きが大きく、0.02円〜0.1円程度まで差があるようです。

Webサービスを利用して楽曲をダウンロード販売する

国内の同人作品販売・頒布サイト「Booth」

次に、Webサービスを利用した楽曲の販売についても考えてみましょう。

これは、国内でいうBooth、海外でいう GumroadBandcampなどのサービスを利用して楽曲を販売する方法です。

Boothでは現物も取り扱っていますが、ここではダウンロード販売を行う方向で考えてみましょう。

まず手数料関連ですが、Booth、Gumroadについては概ね5%、Bandcampは15%程度となっており、同人作品の委託を考えると比較的良いレートです。

在庫リスクについては考える必要がありません。また、Booth、Gumroad等は、世間的には個人性が高いサービスで、二次創作についても許容しているところが多いようです。

Youtubeの楽曲などを見ていても、楽曲を丸上げした上で、GumroadやBandcamp等のリンクを貼っている人も少なからずいます。

欠点としてはダウンロード販売用のデータを作る必要があることで、これは次のデジタル配信の部分で解説します。

◎ ダウンロード販売のメリット

  • 機会損失が少なく、誰にでも販売できる
  • 在庫リスクがない
  • 二次創作OKのものもある

× ダウンロード販売のデメリット

  • ダウンロード販売専用にデータを作る必要がある

iTunesやAmazonで楽曲をデジタル配信する

次に紹介したいのは、iTunesやAmazonで楽曲を販売するという方法。

「iTunesで配信しました!」といえばいかにも有名クリエイターのようですが、実際はそんなことはありません。

例えば、TuneCore Japanというサービスを利用すると、1年あたり1480円の固定制で、iTunes、Amazon、Google Play等で楽曲を配信することができます。誰でもオンラインで配信できちゃうんです。

関連リンク:TuneCore Japan(公式サイト)

iTunes等で配信することのメリットは、直接CDなどを入手できない人でもダウンロードできる、Apple IDやGoogleアカウントで気軽に買える等色々とありますが、一番のメリットは「デジタル音源とアートワークだけで配信可能」ということだと思います。言うまでもなく、在庫リスクもありません。

各種委託ショップなどでもダウンロード販売サービスはやっていますが、その場合にはジャケ絵やブックレットなどを取り込んで配信しているところも多いです。そしてジャケ絵やブックレットを配信用に加工するのは、知識がない人にとっては結構ハードルが高いです。

そういう意味で、アートワークの画像+音源だけで配信できる配信サービスを利用するのは、低コストな割に有りだったりするのです。

もちろんデメリットもあります。例えば、二次創作の楽曲はNGです。iTunes等での配信は「商業流通」になるので、「同人ではOK」の権利元でもNGを出す可能性が高いです。オリジナル曲のみ配信できると考えておきましょう。

また、配信を開始しただけでは何の宣伝効果もないため、Twitterアカウントや公式サイトなど、宣伝媒体を持った人が告知と共に配信することが条件になります。何も宣伝せずに出すと、年間登録費用だけで赤字というのはありえます。

◎ デジタル配信のメリット

  • 機会損失が少なく、誰にでも販売できる。iTunes等のアカウントは多くの人が持っているため、購入の敷居が低い。
  • 在庫リスクがない
  • アートワークと音源さえあれば配信ができる

× デジタルのデメリット

  • 商業流通のため、二次創作・同人作品は注意が必要
  • 広報効果のある媒体を持っていないと、登録費用で赤字の可能性も

クラウドソーシング等のサービスに登録する

ここからはかなり本業の音楽寄りの話になってきます。

音楽で稼ぎたいものの、どこにもそんなコネがない……という方もいらっしゃると思います。特に、本業で音楽業界へ入っていない人にとってこの傾向は強いのではないでしょうか。

そんなときには、ランサーズ等のクラウドソーシングサービスで仕事を探してみるのも一つの手段です。

関連リンク:クラウドソーシング「ランサーズ」

ランサーズには「作曲・音源・BGM制作」というカテゴリがあり、募集されている仕事をみるとこんな感じになります。

経験上、ランサーズの音楽制作系の依頼は波があるため、新着通知などを有効にして良さげな依頼が出てくるのを待つのが良いかと思います。

クラウドソーシングを利用した音楽制作は、クライアントが法人などであればより大規模な仕事に繋がるケースもあり、個人での配信よりも可能性があります。プロ志望だがコネが無い人は、こういった案件にトライしてみるのも良いのではないでしょうか。金額を提示して依頼されている以上、他の「配信」と違って確実に稼げるというメリットもあります。

ただし、相場よりもかなり安い金額で発注するクライアントや、リテイクを繰り返すクライアントなどもいますので、受注の際にはしっかりと条件を確認しあい、信頼できるクライアントと仕事をしましょう。

◎ クラウドソーシングでの音楽制作のメリット

  • 仕事として請けるため、確実に稼ぐことができる
  • 大型案件の場合、スケールする可能性がある

× クラウドソーシングでの音楽制作のデメリット

  • 仕事の条件(支払、納期、リテイクなど)が悪い場合がある

 

自分の音楽を売るために大切なこと

以上、ここでは、一般の商業作家のように作編曲で個人事業を行うのではなく、Webサービスなどを利用して稼ぐ方法について紹介しました。

こういった方法を用いて作品を売っていくにあたり、心がけたいことが二つあります。

複数のメディアを駆使する

一つ目は、複数のメディアを駆使するということ。記事本文にも書いていますが、これらの手法は単体で効果を発揮することはあまり得意ではありません。

デジタル配信だけ始めたとしても、それを知る機会がなければ売れないのです。モノを売るために大事な当たり前のことは、その商品を知ってもらうことです。したがって、「知ってもらう」という観点で考えれば、複数のメディアに作品を出して接点を増やすことが最重要といえます。

「YouTubeに音楽を丸上げしたらCDの売上が落ちるじゃないか!」と思う人もいるかもしれません。確かに少しは影響があるでしょう。しかしそれ以上に、著名なアーティストやレコード会社がこぞってYoutubeに曲をアップしていることを考えると、今までの考え方を改める必要があると考えることもできます。

海外市場をターゲットにする

また、市場を考慮するということも、売上を立てる上では非常に大切になってきます。私たちは普段日本語圏で生活し、日本語圏をターゲットに商売をしています。これは非常に勿体ないことです。

今更言うまでもなく、ターゲットは海外に向けたほうが売上は伸びます。海外のリスナーが視聴しやすく、海外のリスナーが買いやすい形で作品を提供することは売上増加に大きく貢献するでしょう。

海外展開の際にさしあたって必要な言語は、英語です。これだけあればどうにかなります。

「でも英語で作品の紹介とかできるかどうか不安……」と思う人もいるかもしれません。そんなことはありません。通じる英語であれば問題ないのです。

売上寄与という面で考えれば、完璧な日本語のキャッチコピーよりも、拙い英語の説明文の方が効果があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか? ここでは、一般の商業作家のように作編曲で個人事業を行うのではなく、Webサービスなどを利用してお金を得る方法についてご紹介しました。

しかし、いくらWebサービスを駆使して流通させたとしても、売上が低迷してしまうことはあります。

そして悩むのです。「作りたい曲」vs「売れる曲」のジレンマに。

でも安心してください。作りたい曲=売れる曲と言う人は商業だってそう多くはありません。かのサザンオールスターズの桑田佳祐でさえ、そのメガヒット曲「TSUNAMI」についてのインタビューで「読み切れないんですよ」とこぼしている。あの名曲も狙って打ったヒットではなく、たまたまだったのです。

つまり、大事なのは「作り続けること」だということ。あなたの曲はいつどこで流行るかわからないものの、流行るためにはモノが必要です。

「俺の曲は人気の無いジャンル・歌詞だから作っても売れない」と思って萎縮するよりは、作りたいジャンルをどんどん作って量産していくのが、少しでも幸せになれるコツだと思います。